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 7品のコースを食べながら、キジローは不思議な気分だった。
 こんな空気は久しぶりだ。居心地がいいような、悪いような。
 サクヤとエクルーは2匹の猫のように、絶えず笑い合ったり、キスしたりしてじゃれ合っている。
 キジローはそわそわと落ち着かなかった。

 コーヒーを飲みながら、エクルーが切り出した。
「7人に会う話だけど、明後日になりそうなんだ。今、ちょうどどこのゲートも開いてなくて」
「珍しいわよね。107、全部閉じちゃうなんて」
「ヤマワロなら、”まだ会う準備ができてないからだ。”とか言うね、きっと」
「ゲートって何だ?」
「見に行く?うちの裏にひとつあるよ。今、閉じてるけど」
 エクルーがデザートのアッフォガードを配って、言った。
「ついでに、召集かけて、みんなに紹介するか」
「みんな?」
「例の”7人”以外のメンバー。最近、増殖したんだ」
「どうやって呼ぶの?嵐で通信できないわよ」とサクヤが聞いた。
「まあ、見てな。近頃、グレンは感度がいいんだ」

 2時間後、グレンがジンとイリスを乗せたルパを牽きつつ、自分もルパで誘導してドームにやって来た。
「急に悪いな」
「いいや、どうせ嵐の間はヒマなんだ。婆ちゃんも客人の顔を見て来いって言うし」
「何だ。メドゥーラに聞いたのか。グレンも修行を始めたんだろう?」
「でも、客人の顔は見えたよ?」
「ほう。髪は?」
「黒くて、ボサボサ」
「当たり。眼は?」
「うーん・・・青?」
「ハズレ。それじゃ、キジローの方が精度いいな」


 岩山の中腹にある泉の祠は、外が砂嵐のせいで薄暗いにもかかわらず、明るかった。
 泉の中から透明な青い光が漏れているのだ。

 祠で車座になって、メンバーの顔合わせをした。キジローはちょっと落ち着かない気分だった。
 工学博士という、いかにも素人臭いオッサン、髪に植物が棲むとかいう、ロクに口も利けない少女、しっぽと長い耳をもつ原住民の青年。
 地球型でない異星人と出会ったり、一緒に仕事をしたこともあったが、親しくつきあったことはなかった。しかし、エクルーやその姉はともかく、一般人のドクターがごく自然に接しているのをみて、びびっているのがバカらしくなった。